この記事では、自動車の持ち主が死亡した場合の名義変更(移転登録)や売却時に必要な手続きについて説明します。
自動車の持ち主が死亡した場合、その自動車を相続して乗るか、売却や廃車で処分するかの選択肢があります。しかし、いずれの場合も一度、名義変更を行う必要があります。売却や廃車にする場合も、亡くなった方の名義では手続きを行うことができません。
この記事では、相続放棄や相続税などについては触れず、自動車の手続きにフォーカスして説明します。相続人の調査が必要な場合や遺言書での意思表示がある場合は、相続の専門家へご相談ください。
自動車の持ち主が亡くなった場合の名義変更手続きについて詳しく解説!普通車、軽自動車、バイクのそれぞれに必要な書類と手続きをご紹介します。相続手続きが必要な方はぜひご覧ください。
目次
まず最初に
1-1 所有者の確認
1-2 自動車の相続人を決める
自動車別必要書類
2-1 普通車(登録自動車)
2-1-1 引き継いで乗る場合
2-1-2 業者へ売却する場合
2-1-3 廃車にする場合(一時抹消含む)
2-2 軽自動車
2-3 バイク
2-3-1 125cc以下の原付バイク
2-3-2 125cc以上の軽二輪および小型二輪
まとめ
1まず最初に
1-1 所有者の確認
まず、車検証(電子車検証の場合は自動車検査証記録事項という用紙で確認してください)で所有者が誰なのかを確認します。「故人のものでは?」と思われるかもしれませんが、ローンで購入した場合は信販会社やディーラーの所有権がついていることがほとんどです。
車検証には所有者と使用者が別々に記載されています。所有者の欄が信販会社になっている場合は、信販会社に連絡して必要書類を取り寄せます。もちろん、残債を清算する必要があります。
所有者が信販会社の場合は相続とはならず、自動車の手続きとしては所有権解除と同じです。このケースが一番簡単に済みます。
所有者の欄が故人になっている場合は、相続の手続きとなります。
1-2 自動車の相続人を決める
代表して相続する人を決めます。引き継いで乗るにしても、売却や廃車にするにしても、代表者を決めることが必要です。
まず、法定相続人の相続順位を簡単に説明します。配偶者は常に相続人です。そのうえで、第1順位が子(先に亡くなっている場合は孫)、第2順位が親、第3順位が兄弟姉妹となります。子(孫)、親、兄弟姉妹のいずれかが相続人になります。
共同相続という方法もありますが、デメリットが多くお勧めしませんので、この記事では取り上げません。
2 自動車別必要書類
2-1 普通車(登録自動車)
自動車の種類により手続きに必要な書類や窓口が異なります。普通車の手続きは特に複雑になるため、この記事の主な内容とします。普通車の手続きは運輸支局で行い、必要書類も印鑑証明書や実印を用意する必要があります。
2-1-1 引き継いで乗る場合
戸籍謄本 戸籍全部事項証明書 所有者の死亡の事実が確認でき、相続人全員が確認できるもの。
遺産分割協議書 もしくは 遺産分割協議成立申立書 遺産分割協議書は自動車手続き用のフォーマットがあります。相続人すべての記入と実印が必要です。 遺産分割協議成立申立書は車両価値(≒買取の価格)が100万円以下の場合に使用可能です。代表相続人のみの記入実印で簡略化できますが、自動車の価格が100万円以下であることを確認できる査定証または査定価格を確認できる資料の写し等が必要です。
相続人の印鑑証明書 代表相続人(新所有者)の印鑑証明書。発行から3ヶ月以内のもの。
車検証 原本。
車庫証明書 故人と相続人が同居で駐車場の位置が同じ場合は不要。40日以内のもの。
2-1-2 業者へ売却する場合
上記の「引き継いで乗る場合」の必要書類に加えて、業者からの指示に従い譲渡証明書と委任状の記入押印、自賠責保険証、リサイクル券なども求められます。
2-1-3 廃車にする場合(一時抹消含む)
乗らずに保管しておく場合(一時抹消)や、売却せずにスクラップにする場合(永久抹消)は、「引き継いで乗る場合」の必要書類に加え、前後のナンバープレートの返却が必要です。
2-2軽自動車
2-2 軽自動車
軽自動車の場合、手続きは普通車と比べると必要書類が少なく簡単です。遺産分割協議書や遺産分割協議成立申立書が不要であり、印鑑証明書も必要ありません。まず最初に所有者を確認してください。所有者が信販会社になっている場合は、所有権解除と同じ手続きとなります。また、手続きは運輸支局ではなく軽自動車検査協会で行いますので、ご注意ください。
必要な書類は以下の通りです:
戸籍謄本等または法定相続情報一覧図 所有者の死亡の事実と、新しい所有者が相続人(親族等)であることが確認できる書類。
車検証原本
新しい所有者の住民票
引き継いで乗る場合
上記の基本書類のみで手続きが可能です。
業者へ売却する場合
業者からの指示に従い、譲渡証明書などが必要です。
廃車にする場合(一時抹消含む)
上記の基本書類に加え、前後のナンバープレートの返却が必要です。
2-3 バイク
バイクの手続きも簡単に紹介します。まずバイクを大きく3つに分けます。排気量125cc以下を原付バイク、125ccから250ccまでを軽二輪、250cc以上を小型二輪といいます。免許区分の普通二輪や大型二輪とは違いますので、混同しないように注意してください。
2-3-1 125cc以下の原付バイク
まず、ナンバープレートに記載の管轄の市区町村役場で廃車の手続きをします。その後に新しい所有者の住所の管轄の役場で登録します。役場により必要書類や手続き方法が異なることがありますので、参考程度にしてください。
役場へ持参するもの:
相続関係がわかる書類(戸籍等)
標識交付証明書(ナンバープレート交付の際に発行されている用紙)
身分証明書
まずは管轄の役場へお尋ねください。
2-3-2 125cc以上の軽二輪および小型二輪
手続きは運輸支局で行います。
必要な書類:
戸籍謄本等 所有者の死亡の事実と、新しい所有者が相続人(親族等)であることが確認できる書類。
車検証原本(軽二輪の場合は軽自動車届出済証)
新しい所有者の住民票
引き継いで乗る場合
上記の基本書類のみで手続きが可能です。
業者へ売却する場合
業者からの指示に従い、譲渡証明書などが必要です。
廃車にする場合(一時抹消含む)
上記の基本書類に加え、ナンバープレートの返却が必要です。
3まとめ
この記事では、自動車やバイクの相続に伴う名義変更手続きについて説明しました。相続の場合、相続税がかかる場合があります。また、相続人が複雑な場合や必要書類の入手が困難な場合には、専門家への相談をお勧めします。
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